99%、経営者の覚悟。

「99%の情報開示」

 

前回のブログで、
メガネスーパーのV字回復を取り上げました。

 

復習すると、
V字回復した要因のひとつは、
事業の定義付けを変えたことでした。

 

”単なるメガネ屋さん”から、”眼の健康を売るアイケアカンパニー”への転換。

 

これにより、社員の意識が変わり、
仕事への取り組み方が変わったことが、
ひとつの要因でした。

 

しかしながら、
意識改革だけで、V字回復するほど、世の中簡単ではありません。

当然ながら、他にも要因があります。

 

その他の要因のひとつが、
冒頭の「99%の情報開示」です。

 

メガネスーパーでは、
社員個々人の給料以外の数字を、

すべてオープンにしたのです。

 

これを、

OBM(Open Book Management:オープンブック・マネジメント)

といいます。

 

経営陣と社員側には、

”情報の非対称性”

 

経営陣は、すべての数字を知っているけれど、
社員側は、ほとんどの数字を知らない…、

という情報格差の問題があります。

 

この”情報の非対称性”があると、

 

経営陣は、「会社が大変なときに何をやっているんだ! 給料分働け!」

社員側は、「こんなに頑張っているのに、何で給料が上がらないんだ!」

 

持っている情報が違うので、
こんな意見の対立が、必ず起こるのです。

 

この問題を解消するのが ”OBM”

 

すべての数字を公開することで、
情報の非対称性がなくなり、
お互いに納得した意思決定ができる可能性が高くなるのです。

 

納得のうえで仕事をするのと、そうでないのとでは、
力の入れ方に差が出るのは分かりますよね。

 

 

ただし…、

 

注意が必要です!!!

 

OBMをやる場合には、
経営陣は、”相当な覚悟”が必要になります。

 

一度始めてしまったら、

「やっぱりや~めた!」

とは、なかなか言えません。

 

やめてしまったら、
また、”情報の非対称性”に戻ってしまうので、
社員側からは、当然不満が出ます。

 

その不満は、

「数字を出さなくなったのは、不都合があるからだよね」

「うちの会社、危ないんじゃないの?」

「もう会社のこと、信じられないよね」

 

こんな愚痴になり、社内だけでなく、社外でも言い始めます。
その不協和音が、業績に大きく影響してしまうのです。

 

だから、
OBMをやる場合には、一気にはやらない。

徐々に徐々に、公開する数字を増やしていくことです。

 

また、事前説明も大事です。

というか、事前説明 ”が” 大事です。

 

たとえば、

「うちの会社の利益率は、5%です。」

と発表したとします。

 

でも、
その利益率の  ”定義” を知らなければ、何も判断できません。

本業の利益率なのか? 会社全体の利益率なのか?

あるいは、税金支払後なのか、支払前なのか?

など、定義を明確にすることが重要です。

 

そして、
その5%は、いい状態なのか、悪い状態なのか?

比べるための判断材料(業界平均・同業他社など)も必要です。

 

さらに言えば、

良かれと思ってオープンにしたことが、
かえって社員の不安をあおってしまう場合があることも
忘れてはいけません。

 

 

ということで、
OBMをやる場合には、
必ず事前に専門家(税理士やCFO、経営コンサルタントなど)に相談してください。

 

そして、この事前説明は、その専門家にやってもらってください。
第三者の立場からの説明の方が、信頼感がアップするからです。

 

私自身も、OBMの導入に参画することがありますが、
本当に神経を使う仕事です。

そんな仕事ですが、
”経営者、経営陣の覚悟”が見えるから、やめられないんですよね。

 

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