今から10年ぐらい前ですかね、
「お客さまに、自分のお金を融資します」
そんな税理士のプレゼンを聞いたことがありました。
税理士は、
お客さまの財布の中を見るのが仕事ですから、
お客さまの資金繰りが苦しいかどうかは、
すぐに分かります。
資金繰りが苦しければ、
通常は銀行から融資を受けたりするわけですが、
銀行から借りられない会社もあるわけです。
つまり、
財務状況がよくない会社、
経営状態がよくない会社、
ということですが、
そんなところに、その税理士は自分のお金を貸すというのです。
私は、このプレゼンを聞いて、
「うまくいかないだろうな…」
正直なところ、そう思いました。
うまくいかない理由はいくつかあります。
まず一つ目は、
”税理士とお客さまが依存関係になる”
ということです。
一度お金を借りたら、そのお客さまは、
「いざとなったら、また貸してくれるだろう…」
そんな甘えが出てきてもおかしくありません。
そうなれば、事業に本腰が入らなくなり、
根本的な解決が遠のく可能性が考えられます。
2つ目は、
”税理士とお客さまの関係が破綻する”
ということです。
関係性がいいときは問題ないことも、
返済が滞ったりすれば、
だんだん…、だんだん…、おかしくなっていきます。
「返せよ」
「待ってよ」
友人関係でも、
お金の貸し借りで破綻することってよくありますよね。
また、
お金を返さない人に対して、
真剣に経営をサポートしようと思えるのか…、
ここもちょっと疑問ですよね…。
そして、3つ目は、
”個人のお金には限界がある”
ということです。
その税理士の人は、
もしかしたら…、
とてつもない大金持ちだったのかもしれませんが、
一般的に考えて、一個人のお金は、高が知れています。
そうすると、
やがて貸したくても、貸せない状況が来るということが、
容易に想像できるわけです。
でも、
「自分のお金を融資します」
という謳い文句で集客しているわけですから、
「なんで貸してくれないんだよ!!!」
と不満になるわけです。
以上のことから、
確かに集客は出来たかもしれませんが、
このビジネスモデルは破綻すると思った次第です。
その後、
この税理士の人がどうなったかは知りません。
もしかしたら、
うまくやっているのかもしれませんが…。
ということで、
結論としては、
”自己犠牲のうえに成り立った成功は長続きしない”
私はそう考えています。
ボランティア団体が続かなくなる理由も、
ほとんどがこれです。
まずは、
サポートする側が、
しっかりと自分の足で立つことが大切なんですよね。
他人を幸せにしたければ、
まずは自分が幸せになること。
私たちは、
短期的な成功ではなく、
長く続く成功で周りを幸せにしていくべきだと思うのです。
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