「リーダーの役割は、すぐに決めて、示すこと」
これは、
通信教育や介護事業でお馴染みの
ベネッセホールディングス安達保社長の言葉です。
安達社長は、
コンサル会社マッキンゼー出身の
いわゆる、”プロ社長”で、
いろいろな会社を率いてきました。
そんな安達社長ですが、
決断を先延ばしにしたことで失敗してしまった
過去があるのです。
米投資ファンドの
カーライル・グループ日本代表を務めていたとき
ＰＨＳ事業のＤＤＩポケット（後のウィルコム）を
買収したのですが、
決断の遅れで、会社更生法の適用を申請するという
倒産にも等しい状況に陥ってしまったのです。
この失敗の経験から、
安達社長は、
「決断を先延ばせば、
その場しのぎにはなるかもしれませんが、
取り巻く環境は常に変化し続けるのです。
決断を遅らせてはいけないと
肝に銘じています」
とインタビューで答えています。
また、
決断する際の判断基準について
次のように答えています。
「判断基準はすごく単純で、
最終的に何が正しいのかを基に決めます。
では、”何が正しいのか”
と問われると困ってしまうのですが、
一種の勘というか、
今までの経験でしょうか。
会社にとって、
社会にとって、
何が正しいのかを
顧客と会社の中長期の発展のために、
と考えるようにしています」
と答えています。
勘…、
といってしまうと、
論理的ではない、再現性がない、
「それを言っちゃあ、おしまいよ」
とフーテンの寅さん的になってしまいますが、
この、
”勘”
というやつが意外に大事なんですよね。
というのは、
私の師匠である小宮一慶さんから
船井幸雄さんの、勘にまつわる話を聞いたことがあるのです。
船井幸雄さんといえば、
船井総研の創業者であり、
日本のコンサルタント業界の草分け的存在です。
そんな船井さんのオフィスに
小宮さんがを訪れたとき、
船井さんの机の上には何もなく、
とてもキレイだったそうです。
船井さんほどの人物ですから、
抱えている案件も多いだろうに、何もない…。
不思議に思った小宮さんは、
船井さんに聞いたそうです。
「とてもお忙しいと思うのですが、
机の上がキレイなのは、なぜですか？」
すると、船井さんは、
「直感で処理しているから、溜まらないんだよ」
そう答えたそうです。
このときの小宮さんは、
まだ若かったので意味がよく分からなかったそうですが、
経験を積み重ねたいま、
この意味が分かるとおっしゃっていました。
どういうことかというと、
船井さんの中には、
”正しい基準がある”
ということです。
正しい基準があるから、
直感で処理できるわけです。
つまり、
勘 ＝ 適当
ではなく、
勘 ＝ 自分なりの裏付けがある
ということなんですよね。
では、
正しい基準はどう身につければいいのか？
これについても、
師匠の小宮さんに教えて頂きました。
それは、
”美術鑑賞をする”
ということです。
一瞬…、
「え…」
と思うかもしれません。
私も思いました。
でも、
いま世界的に、
経営者やビジネスパーソンの間では、
”美意識を鍛える”
ことが流行っていますよね。
これはなぜだと思いますか？
ちょっと考えてみてください。
正解・不正解はありません。
どうでしょうか？
師匠の小宮さん曰く、
「優れた美術品というのは何か？
優れた美術品というのは、＝ 世の中の多くの人が良いと言っているもの。
つまり、
優れた美術品を、自分は良いと思えるかどうかを確認するために
美術鑑賞をする。
自分と世の中のズレを認識するということ。
これは、正しいも同じ。
正しいは、時代とともに変化していく。
それこそ昔は人を殺してもいい時代もあったが、
いまは違う。
つまり、
世の中の多くの人が正しいと思っていることが正しいということ。
いまの時代に合った正しさがあれば、直感で判断しても
失敗する確率は小さい」
この話を聞いて、
「なるほど！」
そう思いました。
世の中の多くの人が正しいと思っていることを正しいと思える。
その正しい基準で判断しているわけだから、
失敗する確率が低くなるのは、至極当然の話ですよね。
ということで、
”直感力を鍛えて、すぐに決断する”
これをできるようになりましょう。
そのためには、美術鑑賞。
美術に限らず、
世の中の多くの人が良いと言っているものを観て、
自分はどう思うのか？
世の中と自分のズレを認識するのです。
とはいえ…、
美術の良し悪しは難しいですよね…（汗）
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