負けたやつだけ進化する。

2020年4月12日の日経新聞のインタビュー面は、
サンシャイン水族館の
「天空のペンギン」などを仕掛けた
水族館プロデューサーの中村元さんでした。

 

中村さんは、
魚については何も知らない、
興味がない状態で、
三重県にある鳥羽水族館に入社したそうです。

 

本当は、
テレビなどのメディアで働きたかったそうですが、

 

「人気業界であるテレビには、
天才肌の人たちがみんな行く。
絶対に勝てない」

「人に見せて伝えるという点では
水族館もメディアだ」

 

そんな理屈(屁理屈?)で、
自分自身を無理やり納得させたとのこと。

 

でも、

そうなると…、

 

魚が好きで入社してきた人たちとは、
思い入れも、実力も違う。

当たり前のように、

”ダメ飼育員”

になっていったそうです。

 

しかし、

そんな中村さんにも転機が訪れます。

 

団体客向けに、
カメの解説を任されるのですが、
誰も聞いてくれない…。

「浦島太郎のカメはどれや?」

そんな冷やかしの質問が飛んだりする始末…。

 

そこで、
中村さんは考えます。

 

メディアを志した者として、
伝わらないのは情けない、我慢できない。

中村さんは、
テキストに書いてあるような解説をやめます。

 

浦島太郎のカメを調べて、

浜に上がってくるのは本州ではアカウミガメだけ。

産卵のためだから、性別はメス。

オスとメスの見分け方は?

これらを
クイズ形式でお客さんに問いかけるようにしたところ…、

 

 

 

お客さんは大喜び!

お客さんは学術めいた生態や分類なんかには興味がなかったのです。

 

他の飼育員は、

”魚に詳しくない人の気持なんて分からない”

つまり、

”自分が一番お客さまに近い”

他の飼育員にはない武器を持っていたことに
気がついたんですね。

 

それからは、
お客さんが、何をどう見ているのかを観察します。

 

すると、
水族館の思惑と、入園者の行動にズレがあることに
気がついたのです。

 

たとえば、メイン水槽の場所。

水族館では、メインの水槽は、比較的出口付近にあります。
入口にメインを置いてしまったら、そのあとが…、
そんな恐怖心があるのだと思います。

 

しかし、
肝心の入園者はというと…、

 

 

入口付近の水槽はじっくり見るのに、
出口付近の”メイン水槽”は素通りに近い…。

人間ですから、
疲れてきて、集中力が切れるわけですよね。

 

メイン水槽の配置を変えるだけで、
お客さんの満足度アップに効果がある、

そんな気づきを積み重ねて、
ダメ飼育員から脱却していったのです。

 

ということで、

中村さんは、
自身の経験から、

長所を伸ばすでもなく、
短所を克服するのでもなく、

「短所をテコにして、どう成長できるかを考える」

これが大切だといっています。

 

また、

「優秀なやつは進化しない。
絶滅しそうになったやつ、
負けたやつだけ進化するんですよ」

ともいっています。

 

確かにそうですよね。

私自身も、
専門学校でカリスマ講師(!?)になったわけですが、
その理由のひとつは、

”優秀じゃなかったから”

 

優秀な人は、
分からない人の気持ちが、”分からない”

私は、
分からない人の気持ちが、”分かる”

 

だから、
分かりやすい説明ができたのだと思います。

 

ということで、

”負けたやつだけ進化する”

この言葉に、
何だか力が湧いてきました!

 

 

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