いま、タニタの働き方改革が注目されていますね。
どんな働き方改革かというと…、
従業員を、”個人事業主”にするというもの。
会社との雇用関係を終了し、
個人事業主として、自由に働く。
雇用関係が、業務委託契約に変わるだけで、
今までやっていた仕事をそのままできる。
報酬も、従業員時代の給料をベースに決まるから
あまり変わらない。
しかも
出勤は自由で、
従業員じゃないから、副業も可能。
ということで、
聞こえはいいのですが…、
これはこれで、
いろいろと問題がありそうです。
税理士の私が真っ先に思うのは、
この働き方改革を、
”税務署がどう思うか?”
です。
今まで従業員として働いていたものが、
ある日突然、
個人事業主として働く。
だけど、
やってることは今までの仕事と同じ…、
となったら、
「実質、従業員でしょ!」
そう思うのが、税務署の立場です。
どういうことか?
もうちょっと深掘りすると、
消費税の問題があります。
ここから、ちょっとややこしいかもしれません。
ゆっくり読んでくださいね。
消費税の仕組みは、
簡単に言えば、次の算式になります。
A - B = 消費税納税額
A:売上でお客さんから預かった消費税
B:経費等の支払いに含まれる消費税
自分がお金をもらうときにも、払うときにも
消費税は含まれていますよね。
実際に納税するのは、その差額だけでいいということです。
上記を踏まえたうえで、話を戻しますね。
税務署は、どうしても、”従業員にしたがります”
それは、
従業員に払う給料 → 消費税の対象外
個人事業主に支払う報酬 → 消費税の課税対象
となるからです。
分かりやすく金額で考えてみましょう。
たとえば、
仕事の対価として、同じ1万円を払うとしたら…、
従業員に払う給料
→消費税の対象外として1万円。
個人事業主に支払う報酬
→消費税の課税対象として1万円。
1万円は、消費税8%を含んだ金額だから、1.08になる。
1万円 ÷ 1.08 = 9,260円(これが、いわゆる本体価格)
9,260円 × 8% = 740円(これが、消費税)
となります。
消費税の納税額は、
A - B = 消費税納税額
A:売上でお客さんから預かった消費税
B:経費等の支払いに含まれる消費税
でしたね。
つまり、
個人事業主にした方が、消費税が安くなるのが分かりますか?
従業員にいくら給料を払っても、消費税は対象外なので、上記Bにはなりませんが、
個人事業主に払ったものは、
消費税の課税対象なので、Bに入るのです。
Bに入るということは…、
上記で考えれば、740円をマイナスできる。
それだけ消費税が安くなるわけです。
だから、
税務署の立場からすると、
個人事業主ではなく、従業員にしたい。
従業員であれば、消費税をマイナスされずに済むからです。
ちょっとややこしいですかね…。
もし分からなかったら、
もう一度ゆっくり読んでみてくださいね。
ということで、
タニタの働き方改革は、税務上はちょっとリスクがあるなぁ…
と思っています。
そして、もうひとつは…、
おっと、
長くなってしまったので、続きは次回!
お楽しみに!
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